<♪とぼけた顔してババンバン!>
シンケンの迫社長は高樹沙耶邸の設計者。
その設計の過程で何を考え、どんな解決をしたか、そんなことの一部を紹介してくれた。
○高樹さんからお話があったとき、シンケンで施工できる場所じゃないし、設計だけなら東京には優秀な設計者も沢山いるのではないかとお話した。
○施工を小山建築工務さんにお願いすることになり、現地調査に出かけると裏に山が迫っていて、とても建てられないのじゃないかと思い、お断りしたが、どうしても何とかならないかということで、配置を前にずらし、1階部分のコンクリートで土留めをするということで、何とか建築できた。
○平屋のどこからでも出入りできる小さな家を希望する高樹さんに、夜仕事が終わって深夜女性一人でここに車を止めて、玄関の鍵を開けて入ることを想像してください。ましてや有名な女優さんです、誰かに襲われる不安があります。ここは車ごと車庫に入って、シャッターを閉めてから車を降りるべきです。車の入る方向も前から不審者が潜んでいないか安全を確認して入ってください。出かける時はバックで車庫を出なくてはなりません。前向きで出ちゃうと少し走ってから、シャッターをちゃんと閉めてきたか不安になります。不安を抱えたまま1日過ごしても楽しくないですね。バックで出たらシャッターが閉まるまでキチンと見ていましょう。バックで出ると後ろは崖です。崖に落ちるという不安を抱かないように、車止めの棕櫚の大木を植えておきました。アクセルとブレーキを踏み間違えても、棕櫚が止めてくれます。
●迫さんの含みを持った言い方は、ちょっと相手を不安にさせて、その後心にグサリと止めを刺す。「私が想像もしていなかった、そんな事まで考えていたんだ。なんで私がいつも家の鍵を掛け忘れたんじゃないかと心配していること知っていたんだろう?この人は単に仕事ではなく、私の事を本気で考えてくれている。私なんかが余分な事言うより、この人にお任せした方がいいかもしれない!」となるわけです。それはまるで、相手のバランスを崩しておいてちょっと足払いをすると簡単に倒れるのに似ている。
○ここに来たお客さんは、アプローチ入り口にある杭から息を止めて玄関まで来なくてはなりません。「えっ、なんでそんなことしなくちゃならないの?」その杭から玄関までちょうど53mあります。「があぁ~ん!」
●ここで高樹さんの体中に電気が走り金縛りにあってしまうのです。つまり迫さんは高樹さんの心の柔らかい部分を鷲掴みにしてしまったのです。53m息を止める・・・普通の人には何のことかわかりませんし、全く意味がありません。しかし高樹さんにとっては2002年のダイビングで日本新記録を作った金字塔の53m。「この人は家をつくるといって、なんで私の一番大事にしていることを・・・。」
○ここを訪れた方は、53m息を止めて坂道を上って、高樹さんと同じ気持ちを体験できるのです。お客さんが玄関に入るまでのアプローチで、すでに同じ気持ちになっているっていいでしょう。「この人はなんてことを考えるんだろう?私以上に私の事をわかっている」
●ここで完璧に迫マジックにかかってしまうんですね、高樹沙耶さんは。ここまでくればもう迫さんの意のままにコントロールできてしまう。絶対的に信頼する女将の中川さんがなんと言おうともう、迫さんの手のひらで転がることしかできなくなってしまうのだ。
ご理解できましたか?迫マジックの種。
私は以前にこんなシーンがあったことを知っている。
クライアントの希望通りの間取りを目の前でああでもない、こうでもないと言いながらプランしていく。ほぼプランが固まりクライアントも望みどおりのプランになったと不安が安堵に変わったその瞬間、『あっ、いけない!このプランには大きな欠陥がある!』なんて言い出し、何がいけないのかという解説を始める。一転絶望のどん底に叩きつけられたクライアントに、一条の光明を射すように希望を紡いでプランを始めるのだ。『ほらこうすればこうなる、うんこれはいい!いやぁ、気持ちがいいね・・・。』なんて独り言ともつかぬ事をぶつぶつ言いながら、さらさら新しいプランを進めていく。
私は迫さんに聞いたことがある。「あれは迫さんのやらせでしょう。はじめから破綻するように持って行ったでしょう。なんでそんな無駄な時間を使うんですか」と。『クライアントには勝手に家のイメージができているから、こちらで理屈を言って否定したって、その場は良くても一晩寝ればやっぱり自分たちの案の方がよく感じてくるものだよ。必ず翌日あそこはこうならないでしょうかと変更の電話が入る。相手の考えを否定しないでそのまま受け入れてプランして、その欠点に気付けば、もう過去の思いを引き摺らないので、プランしやすくなる。決して無駄なことではないのだよ。』
もうわかったでしょう、迫マジックの種。
そう、シンケンさんの『経営理念』にその解答が書いてあります。
お客様に好かれる 強く好かれる 永く好かれる
<♪あいつにゃとってもかなわな~い>
(つづく)

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