時々、雑誌やテレビで、「結局3年の時間をかけてしまいました。建築家もよくお付き合いいただけました。はい、おかげですっかり気に入った家になりました。」なんてコメントを聞くことがある。
私は、つい「ほんとかよ!」って突っ込みを入れたくなる。
「時は金なり」なんて言うが、時間をかければ良いというものではない。むしろ時間のかけすぎはメリットがないと考えている。僕たちはスタート地点から到着点まで歩くとする。道に詳しい人は最短距離で歩くが、よく分かっていない人は紆余曲折して、遠回りをしながら到着する。どちらも同じ目的点に着いたが、やはり後者の行動には疑問が残る。確かに遠回りして時間をかけた分コミュニケーションは取れるし、意外な発見があるかもしれない。それでも、プロとしては極力最短距離に近いところにいないといけない。それは、設計能力の問題だと思うから。
設計料って、通常建物契約金額に比例することが多い。だから、かかる時間はコストと関係ないことが多い。だからといって、やたらに時間をかけていては設計が業として成立しなくなる。実際、建築家と呼ばれている方々で設計が業として成立している方は、意外と少ない。結果として賃金体系に徒弟制度が残り、スタッフは大卒でも満足な生活ができない程度の給料で働いていることが多い。こんな事をしていたら、優秀な造形能力を持つ若者が、住宅設計に魅力を感じなくなるかもしれないと危惧する。趣味の住宅設計をする方は、出来れば建築家と名乗らないでいただきたい。プロとしての能力と自覚と責任を持った建築家と、工務店は付き合いたいのです。
工務店で設計すれば、設計料はかからないと考えている住まい手がいる。確かに見積書に設計料を表示しない工務店が多いことも事実だが、ではこの費用は誰が負担しているのだろうか?当然住まい手が負担することになる。結局ここをうやむやにしていると、コストをきちんと詰めることはできない。この情報を明快にすれば、住まい手は建築家に設計をお願いするかどうか判断しやすくなる。例えば、建築家にお願いすれば10%程度の設計料がかかるが、工務店にお願いすれば無料だというのは大きな間違え。
注文住宅で、しっかりインタビューして、予算・法律・要望・敷地条件等々を整理し、提案して図面にまとめる作業は、誰が行ってもかなりの労力を要する。例えば工務店の設計の場合、設計者の年収を500万円として会社の経費を加えると、1000万円程度負担していることになる。
1人の設計者が1年間にまとめられる図面の量は、せいぜい8棟程度でしょう。
さて、1棟当りにかかる工務店の設計料はいくらでしょう?1000万円/8棟=125万円/棟です。
もちろんハウスメーカーやパワービルダーのようにプラン集から選んで敷地に合うように改良する設計ならこの何倍も設計可能ですから、もっとコストは下がりますが、今回は注文設計に限定して考えています。
例えば総工費2300万円の住宅を建てたとします。そのとき設計料10%の建築家に依頼すると230万円の設計料ということになります。かたや、工務店の設計の場合125万円の設計料とすれば、どちらに依頼するかによる住まい手の設計負担額の差は105万円ということです。この金額が明確に情報開示されれば、住まい手はその求める内容とコストを比較して、設計を誰にお願いするか判断しやすくなります。工務店も、設計コストをブラックボックスに隠すのではなく、きちんと明示するべきだと考えます。本来その方が、住まい手にとってメリットが大きいと思います。
<志木の家 設計:伊礼智>
話を設計にかかる時間に戻すと、業として成立する適正な設計期間というものがあると思います。10%の設計料では3ヶ月~6ヶ月程度ということになります。これ以上かけていたら、料率を上げなくては業として成立しなくなるからです。設計に6ヶ月かかった場合、現場監理に6ヶ月かかるので、担当者を1年間拘束することになる。同時に数件の設計を平行して行うが、仕事の質を損なわない数には限界がある。
i-worksでは、原則5回の打合せで基本設計が終るようにプログラムしてある。各回これだけのことは決めるという項目をリストアップしてあるので、設計者もその準備を行い、住まい手も前もって考えておける。設計の打合せって、ついつい雑談に脱線してしまうことが多く、本日のメニューが明確になっていないと消化不良を起こし、結局無駄な時間がかかってしまう。各回の打合せスパンは3週間を原則にしている。この間にお互い準備をする。そして実施設計期間を入れて6ヶ月以内に実施設計まで終了させるのが一つの目安になる。
ゴミを減らせばコストは下がる←○→住宅業界をレストランにたとえると
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