バスは袋井インターを出て、一路秋野不矩美術館に向かった。
天竜市立秋野不矩美術館は、天竜市街を見下ろす丘の上に位置し、平成10年4月に開館した。内外共に地の自然素材を、なるべく自然のままに取り入れられた建物は、現代建築史家:
藤森照信氏により設計された。
既に見てきた何人かの友人から、下の駐車場に止めて、スロープを歩きながら建物を見るべきとアドバイス頂いていた。正しく山城を見上げるようなアングルから、徐々に全貌が見えてくる。アプローチの道々も、いろいろな仕掛けがしてあり、退屈しない。
カーブを回り込むと、秋野不矩美術館が、ずっと昔からそこにあったような顔をして迎えてくれる。
石と土と木で出来たこの建物は、まるで秋野不矩画伯の絵のように、純粋で一点の曇りも無い、素直なモノになっている。
真っ青な空に、土色した壁が実に良く映え、壁らしい力を持って存在する。この壁は、どこか秋野さんの作家グランドだったインドに繋がっているような気がした。