ソーラータウンの仕事が決まった時に、モデルハウス建設の話が持ち上がった。当初予定していたソーラータウン内区画に、モデルの先行建築が認められないと言うのだ。結局相羽建設が所有していた別の敷地に建設を決めた。OM研究所に持ち帰り、短期間での設計、そして施工と言う話をすると、伊礼さんはやってみようとのって来た。超特急の設計で、2週間で実施図まであげて、詳細は現場監理をしながら描き進めた。ソーラータウンの造成工事と平行して、モデルハウスの建設が始まった。
それ以前から、OM研究所では、副所長の永田昌民さんの発案で、建築家:半田雅俊さんを座長とした「住み続けられる家を考える会議」が開催されていた。その中で漠然とではあるが、コンセプトはできていたので、伊礼さんは、その理想形を具現するべく鉛筆を進めた。結果として、余分な事を考える時間がなかったことが幸いして、荒削りではあるが、芯のしっかり通った計画が出来上がった。
細かな部分の辻褄は、現場監理を進めながら、職人さんのアドバイスも参考にして、伊礼さんの経験と感性で摺り合せた。バックに19棟のソーラータウン建設、そして、その展開系のAiba Style の構築と言う命題があり、設計の合理化の必要もあった。建築家:奥村まことさんの「いろいろ考える必要はない、一番いいものは1つしかないんだから」と言う言葉もあった。「玄関・階段・洗面所・浴室は、いくつかのパターンに集約できるのではないか」こんな考え方が自然に出てきた。
モデルハウスを建設しながら、机上で考えた事を具現化していく。そこで生じた不都合を解決しながら、より精度を高めていった。