路上採取 釜山の階段路地を歩く13 チャガルチの階段路地
伊礼さんの釜山がアジアの山岳都市なら、本家本元ヨーロッパはイタリアの山岳都市ポリの写真を掲載します。
イタリアの山岳都市では何処でも階段の段板にゆるい勾配が付いている。実際歩いてみるとこれが実に疲れない。水平だと蹴上が大きくなり腿を大きく上げなくてはならない。段をなくして坂道にすると、ふくらはぎに負担がかかる。拠って、「ゆるい勾配+小さな段」が実にいい塩梅だ。また、こうなっているから、自動車が階段を上っていける。映画やコマーシャルでそんなシーンを見たことがあるだろう。これは山岳都市に住む生活の知恵。
通りから一本入ると、そこは通りの矛盾を一手に引き受けた不思議な通路に、各家のアプローチまでの階段が勝手に取り付く。各家が立体的に絡み合っていて、通路の上に家があってトンネルになっていたり、階段の下が他人の家だったり、もうお手上げ状態。でも、僕にとってはワンダーランド!目くるめく迷宮に、好んで迷い込む。下がってトンネルをくぐって階段を上ったら、さっき入った入り口の上に出てきちゃった!
自然の地形に逆らわず、いや、家までもが自然の地形になってしまっている。この気ままさがイタリア山岳都市の魅力。
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