それでは実証実験の結果を温度表示でご覧いただきます。
基本的に、左側が遮熱住宅、右側が非遮熱住宅です。
日向部分と日陰部分の外壁温度です。
太陽が廻り過ぎて非遮熱の1階部分は太陽が当たっていません。 日が当たっている外壁側の1階内壁温度です。
日の当たっていない間仕切壁1階内壁温度です。この温度が1階室温と解釈できます。
日が当たっている外壁側の2階内壁温度です。
日が当たっていない間仕切壁2階内壁温度です。この温度が2階室温と解釈できます。
2階の尖がり部分天井(野地の裏)温度です。
棟木より右側がガラス付き集熱面です。
床下点検口の蓋を上げて、床下土間コンクリートの温度を測ってみました。
考察
遮熱住宅の方が全体的に0.5~1℃位温度が低いように見えますが、これは遮熱のせいではなく、生活の仕方の問題だと思う。どちらのお宅もエアコンの設備が無く、自然状態で生活していますが、当日は外気温が34℃になっていました。遮熱住宅の方は窓を閉めて熱い外気が入らないようにし、窓にも障子やカーテンを引いてダイレクトゲインが無いようにしていました。非遮熱住宅の方は、よしずでダイレクトゲインが入らないようにしながら窓は開けて外気が通るようにしていました。結果として、これだけ外気温が上がると、外気を採り入れない方が室温が低いようです。
さて肝心な遮熱効果ですが、今回の実証実験では効果が認められませんでした。
直射日光が当たっている外壁側内壁温度も、日陰の外壁側内壁温度も、同じ温度でした。
つまり、外壁温度に差があっても、日照に差があっても、室内側壁温度は変らなかった。
それでは遮熱効果が出なかった理由を考えてみよう。
木造ドミノ住宅の場合、外壁は通気工法なので、外壁表面が焼けても、通気層で熱が流されて、
遮熱シートだろうが防水シートだろうが、大きな差は見られなかったのだろう。
また、壁には100mm16Kg高性能GW断熱材が充填されているので、
1日ではその熱が通り抜けられなく、夜間は冷されるので結果として室内に入ってこなかった。
屋根の場合も、OMソーラーで積極的に通気層の空気を抜いて捨てていたので、
遮熱が無くても66mmのネオマフォーム断熱材を抜けて熱が進入できなかったものと思われる。
つまり、断熱性能が高い木造ドミノ住宅の場合、遮熱をしなくても熱が抜けなかったのだろう。
遮熱メーカーの方も、野地の裏で30℃と言う数字が信じられないと言っていたそうだ。
結論として、断熱性能が悪い建物では、遮熱の効果が大いに期待できるだろう。
しかし最近の高断熱住宅では、遮熱しなくても断熱材で熱を止められるので遮熱の必要がない。
もう少し付け加えれば、遮熱することで断熱材を薄くすることも可能だろう。
しかし夏はそれで良くても冬の断熱を考えれば、断熱不足になるから今のスペックは必要。
つまり、東京では冬の断熱性能でスペックが決まってしまうので、遮熱は必要ない。
このような結果に至りましたが、皆さんはどのようにお考えでしょう?
遮熱シートは本当に効果があるのか(1)も併せてご覧ください。