普通の価格で、OMソーラーが付いた快適に生活ができる家をつくりたいと思った。
僕が考えた価格は、30代前半の住まい手が負担できる範囲として、4500万円、その内訳は土地:2000万円・建物:2100万円・諸雑費400万円ということになる。
多くの建築家は、毎回実験住宅(オリジナル)をつくっているが、プロトタイプの持つ実験的不完全さも併せ持つ。私は学生時代機械工場で図面引きのバイトをしていた。スライディングゲートという、簡単に言うと溶鉱炉の蛇口を専門的に描いていた。新しい溶鉱炉の注文が来ると、その大きさと用途によって、一番類似した過去の図面を下敷きにして、そこの独自要件及びメンテナンス記録に従い問題箇所を改善していく。毎回細かな改善がなされ、一見変わり映えしないが確実に完成形に近づいていく。けっしてオリジナルをつくることはなかった。リスクを考えるとオリジナルは割に合わなかったのだろう。ものづくりって、そんな側面も持っている。
伊礼さんも、オリジナルばかりつくり続ける建築家の仕事に疑問を感じていた。事実、伊礼さんが尊敬し憧れる建築家たちは一つのスタイルを持ち、毎回淡々と同じことをしながら、その住まい手の生活や立地条件に馴染ませた改善を加えていた。伊礼さんは、「プレタポルテの家」と「オートクチュールの家」という概念を持っていて、住まい手の条件により使い分けるのが良いと考えていた。
i-worksは、アノニマスな家がいいと思った。大げさに言えば、日本のスタンダードになりうる家を目指した。リーズナブルで快適に住み続けられる家・・・。「プレタポルテの家」について話していくうち、このシステムが不自由に感じられたら失敗だと思った。プレタポルテだからこそ大きな可能性を孕む物にしないといけない。二人の一致した思いだった。
敷地延長で四方を建物に囲まれた家(小平の家)や、基本形に箱を足し廊下で繋いで天空の部屋を持った家(小作の家)をスタディしながら、i-worksは無限の可能性を持つ非常に自由度の高いシステムだという確信を得た。スタンダードだからこそ持ちえた普遍性、自由さを見つけた。
<小平の家 設計:伊礼智><小作の家 設計:伊礼智>
このスタイルを定着させるためには、一切の無駄を省き、合理的に整理した、自由なシステムを構築する必要があった。大幅なコストダウンを図る必要があった。周りの建築現場を見回すと、無理・無駄・斑が沢山あり、これを整理するだけでもかなりのコストダウンが可能だと思った。実際無秩序につくられた建築現場は、ゴミの山だった。このゴミも住まい手がお金を払って買ったもの。しかも更にお金を払って、環境に負担をかけて処分していた。現場に秩序を与えれば大分改善できる可能性がある。
30年弱で建替えられる住宅・・・これが50年快適に住み続けられれば、結果としてリーズナブルな住宅になる。住み続けることが最大の省エネルギーだ。農薬を使用した防蟻処理をしたくないから集成材の使用を止め芯持ち無垢杉柱にした。50年の耐久性がない合板フローリングも止め赤松無垢縁甲板にした。25年の耐用年数でつくられた薄いステンレスのシステムキッチンを止め、業務用並みの1mm厚ステンレスヘアラインカウンターにした。
コストダウンは、単に表面的な価格を落とすことではなく、時間軸で考えたコストダウンもある。このことを、僕たちはしっかり伝えていかなくてはならないし、住まい手もここまで含めた考えで住宅のコストを考えていただきたい。さらにメンテナンスコストも考えて設計を行う必要がある。
本気でコストダウンを考えると、結構建築現場には発見がある。
コストダウンは、i-worksを成立させる絶対条件だった。
次回は、具体的なコストダウンの方法について考えてみたい。
詳細見積りについて考える←○→ゴミを減らせばコストは下がる
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