田中工務店さんは、まじめで一所懸命なのだが、なかなかOMソーラーの実績が上がらなかった。
そんな田中さんに話を聞くと、毎回OMソーラーで提案するが、
結局予算の関係でOMソーラーをはずさざるを得なくなる。
予算の関係でOMソーラーをはずせる理由は2つある。
○初期の予算配分が甘い。条件の整理が足りない。
○OMソーラーを活かした設計がなされていない。
これを解消するためには、i-works が有効だ。
早速、Sさんの家の設計を伊礼さんが行う。これが有名な
「江戸川ソーラーキャット」
続けて、Oさんの家の設計も伊礼さんが行う。これが
「東船橋の家」
技術が確かな職人を揃える田中さんの仕事は、見学会で多くの建築家を魅了し、たて続けに、住宅雑誌に掲載された。また、その雑誌を見ての問合せが相次ぎ、良い循環が始まった。
どちらも、当然OMソーラーをはずそうという話にはならない。
現調とインタビューと持ち物調査をして、3週間後にプレゼン。伊礼さんが模型とパースでプレゼンテーションをする横で、私はi-works 見積りソフトを使って概算金額を出す。これで、住まい手・つくり手・設計者の3者に価格的押さえが具体的に共通認識となる。住まい手の要望を聞き、整理されないまま設計すると、大抵は予算オーバーになる。スタイルを持てば、価格的根拠が明確になるので、大幅に予算を外す事はない。これも、建築家としての大切な資質と考えている。
i-works では、OMソーラーが設備されることを前提として設計を進めるので、OMをはずすとそのままでは快適な生活ができない。床暖房を入れないと寒くてしょうがない。反対に、開放的な間取りに設計するので、階段や廊下まで室内化でき、建具や壁で仕切らないので視線が抜け、同じ面積の普通の家より3坪は拡がりを感じる。だったら3坪小さくつくればいい。坪60万円としても3坪で180万円・・・OMソーラーの設備費が出てしまう。それに3坪小さくつくれば、限られた土地でも、10年後に屋根を越す大きさの樹を1本植えるスペースが出来る。
相羽建設の「阿佐ヶ谷の家」の見学会に参加した田中さんは、「江戸川ソーラーキャット」とダブらせて見て、これで一つの都市住宅のスタイルをつくりませんかと提案してきた。i-works は、「都市に住む」「集まって住む」ということを意識しながら計画されてきたから、すんなりと話がまとまった。
「狭小地」「プライバシー」「小さな家」と正面から取り組んだi-works が「東京町家」になった。
非常にコンセプトが明快になったので、スタイルとして創りあげようという段階で、2社では都内全域をカバーしきれないことに気づいた。城南地区で以前よりi-works の取り組みに興味を持っていた、創建舎の中里さんに声をかけ、3社が集まった。各社東京の端っこに位置しているので、神奈川・埼玉・千葉の一部もカバーできる体制が出来た。こうして、東京町家が立ち上がった。
「東京=都市」「町家=集まって住む」という思いを込めて「東京町家」というネーミングを考えた。
頭の隅っこには「地域で永く親しまれるにはご当地ソングに限る」という意識もあった。
「長崎は今日も雨だった」「ブルーライトよこはま」「函館の人」・・・数えあげれば切がない。
「江戸川ソーラーキャット」「東船橋の家」「阿佐ヶ谷の家」「下里の家」等の東京町家住宅は、
「東京町家ホームページ」の下段メニューから「建物を見る」をクリックして頂くとご覧になれます。
この部屋の仕上げ
天井:石膏ボードVP
壁 :石膏ボードVP 一部シナベニアオイルフィニッシュ
床 :北欧赤松節板15mmワックス