OMソーラーの本質
OMソーラーの技術を、床暖房と捉えている人が多いが、それは、応用の一部でしかない。本質は「目に見えない空気と熱の動きをデザインする」ことにある。つまり、温度の高い空気は上昇し、低い空気は下降するという、自然の摂理に従ったものの考え方。これを理解すれば「重力換気」ができる。
階段の腰引戸を閉めれば、冷房時に冷気が階段を下りて逃げない。腰引戸なので視界の広がりや空気の流れを邪魔しない。
開発者の奥村先生から、床暖房という話を聴いたことがなく、いつも「OMソーラーは世界で一番素適な換気装置だよ。だってヒートショックなしに大量の室内空気を入れ替えられるだろ」と話している。これを理解すると、2階リビングの時の冷房空気が階段から落ちるのを防いだり、階段上のトップライトから熱気を抜いたりできる。吹抜けが無くても、階段上にリターン口を設けて、エアコン暖房時の上昇した熱を床に還す事ができる。OMソーラーというと大きな吹抜けを連想する方が多いが、階段は上下階を繋ぐ吹抜けになっているから、これを活用して空気の動きをデザインすれば、小さな家「東京町家」では、吹抜けが無くても快適な住環境をつくれる。
(左)吹抜けが無くても階段の煙突効果を利用すれば、夏はトップライトをあけると、熱気が抜けていく。
(右)階段の上にリターン口を付ければ、冬は上昇した暖気を床下に還して、上下の温度差をなくす。
自然の摂理に従い、空気の流れを見ながら設計する事が、快適に生活できる空間をつくる必要条件。勿論、新鮮な空気をたっぷり取り込むことも必要。だって、人間は空気を吸って生きているから。