浮間の家の水周りについて見てみよう。
浴室は、床が浴室用コルク貼り、入り口はグレーチングでバリアフリーになっている。
「東京町家」では、OMソーラーの熱を持った乾燥空気を床下に入れて、浴室床を暖かくするためと、入浴後板壁を乾燥させるために、ハーフユニットバスを使っているところが大きな違い。一長一短だが、見た目はコルク貼りの方がフォトジェニック!
壁天井の仕上げは「東京町家」と同じサワラ貼り。(もしかしたら檜かも・・・) 換気扇は壁から出しているところがちょっと違っている。浴室の照明は、もう少し低い方が、明かりの重心が下がり、もっと落ち着いた感じになったと思う。
右の写真は、2階ホールにある洗面器。木製集成材カウンターに陶器製角ボールが載っている。広い2階ホールは、部屋的な雰囲気を持っているので、あまり実用一点張りの洗面器では雰囲気にそぐわない。木製カウンターの感じが室内に馴染み、ボールの形もGood!この右側にトイレがある。
「東京町家」以上の狭小地なので、道路に対してあまり引きが取れない。道行く人や道路反対側のマンションの視線から、プライバシーを守りながら開くために、デッキ・ベランダ・ポーチは、板塀で囲われ、安心して室内を開放できるようになっている。この木質の柔らかい感じが、道行く人たちを和ませる。また、道路際に植えられたシンボルツリーが、10年後には大きく枝を広げ、道行く人に木陰を提供するだろう。更に、道路に影を落として、蓄熱を防ぐという、微気候を創り出すためにも有効。10年後、この木が育つと建物とグリーンのボリューム感が、ちょうど良いバランスになる。その時が楽しみな家になった。
非常に私達と共通する考え方で、快適な小さな家だった。特に畳のリビングは、なんかごろごろしていたいようなコーナー。2階ホールの光の具合がとても良かった。自然体で居心地が良い家だった。松原正明さんは、いつも安定して気持ちが良い住宅をつくり続ける建築家だ。