上の2枚の写真をご覧頂きたい。
さてどちらの部屋の方が広いでしょう?
実は、部屋の広さは一緒で、天井高が違います。
上はCH=2200、下はCH=2400、20cm違います。
人間は、プロポーションで物を判断する癖があります。
だから、同じ広さなら、天井が低いほど広く感じられるということ。
但しその低さが、圧迫感に繋がるような低さでは、息苦しくなります。
このバランスが実に微妙、単に数値だけの問題ではありません。
ヒントは、「視線の抜け」。
例えば、下がり壁が付くだけで、一気に鬱陶しさが前面に出ます。
この折り合いをつけて、バランスが良い空間に仕立てるのが建築家の仕事。
このことを、
建築家:丸谷博男さんがとてもわかりやすく説明していました。
「ゴムまりを上から押えると、横に拡がる。上に引っ張ると内側に迫ってくる。
空間も全く同じ作用があり、狭い空間で無理やり吹抜けをつくると壁が迫ってくるように感じられる。
反対に天井を下げてあげると壁が拡がって感じられる」
小さな家の場合、天井高を低くすると、広く感じる。ただし絶妙なバランス感覚が必須。
また、経験上、建具は2200を超えると、反る確率が上がる。
建具の上に下がり壁があると、視線の連続性が失われ、狭苦しく感じる。
新規格になったアルミ掃出しサッシは、高さが2200になった。
以上の理由から、「東京町家」では、天井高は2200mmを標準にしている。